医療通訳研究会(MEDINT)・CHARM母子保健登録通訳者フォローアップ研修2019

「就学前の子供たちの言語発達を考える~言語聴覚士の立場から」

日 時:2020年1月12日(日) 13:30-16:30
場 所:西宮市大学交流センター 大講義室
参加者:70名(MEDINT会員21、CHARM会員2、非会員47)※うち母子保健登録通訳者18名
内 容:①②シンポジストからの報告、③ファシリテーターからの追加発言、④質疑応答
 ①上田 月美氏(手話通訳士・言語聴覚士)「就学前の子ども達の言語発達を考える」
 ②鈴木 美佐子氏(アメリカ言語聴覚士協会認定スピーチランゲージパソロジスト・言語聴覚士)「バイリンガル児の言語発達支援」
 ③オチャンテ 村井 ロサ メルセデス氏(桃山学院教育大学教育学部教育学科講師)
主 催:医療通訳研究会(MEDINT)/ NPO法人 CHARM
助 成:コープともしびボランティア財団
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参加者の属性は、通訳者(音声・手話)、言語聴覚士以外にも、日本語教師、福祉関係、医療職等と、本当に多様な方々にご参加いただきました。シンポジストの上田先生、鈴木先生からは専門外の人にも分かりやすく、そして興味深い報告をして頂いたおかげで、質疑応答の時間内に収まらないほどの質問が集まり、ファシリテーターのオチャンテ先生にはそれをうまくまとめて頂きました。参加者の方からの感想を以下に紹介いたします。
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去る1月12日、“医療通訳研究会(MEDINT)・CHARM母子保健登録通訳者フォローアップ研修2019”に参加させていただきました。今回のシンポジウムでは、外国にルーツを持つ子供達のなかでも、特に就学前児にフォーカスし、その言語発達について、お二人の言語聴覚士の方からお話を伺うことができました。

3歳児検診等でことばの遅れが気になるお子さんがいる場合、ご家庭でも出来るだけ日本語を使うようにと親御さんに指導がなされることがありますが、この時期、家庭においてはなによりもまず、子供がお父さんやお母さんをはじめ、家族と楽しみながらコミュニケーションを取りたいと思うことが大事で、それが言葉の学びにつながるんだそうです。従って、お母さんが自信のない状態で無理やり日本語を使うよりは、しっかりと母語でもって会話する方が望ましく、親の母語をしっかりと習得するか否かは、将来的には親と子の関係性の構築にも関わってくるとのことでした。

私自身、通訳として、これまでさまざまな場面でさまざまな年齢の方をサポートしてきましたが、ある程度の年齢になってから来日した子供達と、外国人の親のもと、日本で生まれ育った子供達では、その言語発達に明らかに違いがあると感じながら、はっきりとそれを言葉で言い表せないもどかしさを抱えながら現場に出ていました。今回、先生方のお話を伺って、そのあたりのもやもやが解消できたことは私の中で大きな収穫でした。

また、最後の質疑応答では、専門用語を駆使した質問が多く寄せられていましたことから、おそらく、多くの言語療法士さんや福祉の専門家の方々が参加されていたように思われます。通訳者は現場で意見を述べる立場ではありませんので、こうした場で得た知識を、専門家の方々がそれぞれの現場に持ち帰り、活かしていただけることは、外国にルーツをもつ子供達がこれから増えるであろうと予想される中、非常に有難いことです。私自身もシンポジウムを通してたくさんの新しい知識を得るだけでなく、違う角度から見たご意見を聴くことによって視野が広がった気がします。さまざまな立場の人間が同じ場で学ぶからこその利点を肌で感じられた一日となりました。有難うございました。

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